アートセラピーって何?
アートセラピー(芸術療法)とは、カウンセリングの現場でも用いられている心理療法の一つです。
アート(芸術)を通して、私たちの中にある潜在的な無意識の世界にふれて、それを表現することで、自分自身を客観的に見つめたり、認識したり、心と体のバランスを整えたりなどしていきます。
一般にアートセラピーでのアートとは、絵画や音楽、ダンス、詩などのような「自己表現」や「創作」するものを広くアートとしてとらえています。
私たちは、アート(芸術)の中でも、「絵画」を使った絵画療法というものを取り入れています。
アートセラピーの目的は?
私たちは、いろいろな思いのすべてを、言葉だけで表現することが難しい場面が多々あります。
まして子供の頃は、うまく表現したい、気持ちを表したいと思っても、言葉ではうまく表現できないことも多くて当然です。
思いや感情はもともと抽象的で、あいまいなものです。言葉ではうまく表現することができない感情も、イメージすることでアートにして表現することができるようになります。
アートセラピーにおいて絵を描くとき、上手に描くことが目的ではありません。
アートセラピーの目的は、自由に自己表現していくことで、自分自身の内面と向き合い、再発見し、認識していくことにあります。
そして創作活動を通して、自己表現の喜びや開放感を感じて、自分自身への信頼感や、心身の解放や癒しなどを目指していくところにあります。
またアートセラピー(芸術療法)は、他の言葉によるセラピーに比べて、五感などの感覚や感情とのつながりが大きい療法です。
その理由は、私たちの感覚や感情を表現するときに、言葉で表現するよりも、アートを使った方が表現しやすいからです。
アートセラピーの効果は?
(1)分析的なアートセラピー
絵を描くときに、何気なく選んだ色や配色、タッチ、描き方、などに、無意識の自分自身が表現されることが多いです。
それで、それらのことを通して、そのときの心理状態や関心ごとや気持ちなどを見ていくことができます。
つまり無意識からのメッセージを受け取ることができるのです。また心の状態だけではなく、そのときの体の状態を表すこともあります。
ただ気をつけておきたい点は、色彩心理学などによって、様々な情報を絵から得ることができるのですが、その情報だけで先入観を持ってしまって、一方的な見方になっていないかということです。
例えば、親が子供の心理状態を知りたいからといって、絵の心理分析だけの情報を信じすぎ、先入観にとらわれて、目の前の子供の変化や動き、あるいは他の可能性に気づいてあげられないことがあるということです。
(2)創作表現としてのアートセラピー
自由に描かれた絵を通してのセラピストとの交流の中で、自分自身でもわからなかったあなた自身の心と体の状態を知ることができます。
案外、自分自身のことは気づかないことも多いものです。
絵を通して、自分の心を見つめたり、再発見したり、あるいは心の奥にある様々な感情を絵の中に表現することで吐き出したりしてみてください。
実際、言葉によるカウンセリングでも、通常クライアントとセラピストで同じようなことを行っていきます。
アートセラピーでは、そのようなプロセスを言葉だけではなく、アート(表現)を通して進めていきます。
なので、アートセラピーによって、「私はこんなことを思っていたんだ~」とか「とにかく描きなぐったら、なんだかすっきりしたぁ!!」など開放感や、新しい発見をした喜びなどを感じ得るはずです。
アートセラピーの対象は?
アートセラピーは、アートを通してのコミュニケーションでもあります。
ですので、基本的に、アートの活動ができる方ならどんな方でもアートセラピーをすることが可能です。
現在、老人福祉施設や児童施設、病院やリハビリ施設、また保育園や学校など、様々な場所でアートセラピーが取り入れられています。
◇言葉によるコミュニケーションが苦手な子どもや高齢者
◇何らかの心身の障害を持たれている方
(精神疾患、うつ病、身体障害、知的障害など)
などはアートを通したコミュニケーションの方が、言葉にたよったコミュニケーションより意思の疎通が取りやすかったりもします。
また現在、ストレス社会と呼ばれるように、日常多くの方が、心身のストレスを抱えて生活していることが多くなってきています。
ストレスの許容を超えたとき、気分障害(うつ病など)などになったりして、悪化した場合は、かなり回復するのに時間がかかったりします。
ですので、アートを通して、気軽に楽しみながら、無意識の内に溜まったストレスを無意識の内に取り除いていくことができればと思っています。
日ごろからより多くの方がアートを気軽に楽しんで、心と体のセルフケアができるようになることを願っています。
アートセラピー受講者の感想
・週末になると決まって頭が痛くなって寝込んでいたのに、
絵を描くようになって、頭痛で寝込むことがほとんどなくなった。 (20代 女性)
・絵を描いている時間がとても好きです。
ただ無心になって描いていると、ほんとに心がすっきりして洗われるようで・・・ (60代 女性)
・この子がこんなに落ち着いていて、こんなすばらしい絵を描くなんて思ってもみなかったです。(自閉症の子のお母さん)
・いつも子供を叱ってばかりだったので、こうして一緒に方を並べて、絵を描く時間がとっても新鮮で、子供のまたいつもと違った面を見る頃ができてとてもうれしいです。(30代 女性)
・教室の展示会のときに、すごい!!すばらしいね!!って褒められるのが、なんだか快感で癖になってしまって (50代 男性)